紅一点×SnowMan⑩ (ページ28)

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部屋の鍵を閉めようとしたら、ドアが開く。

「あれ？風磨？どうしたの？」

『ん？忘れ物。』

「あ、そうなの？気づいてなかった。」

忘れ物をとりに来た風磨を再び部屋の中に招き入れる。

「あった？」

『んー。で？』

「で？」

『本当の理由教えてよ。俺達を避けていた理由。』

「ええっ！？」

どうやら風磨には通用しなかったらしい。
核心をつかれ、動揺してしまう。

『多分さっき言ってた理由は本当だと思うけど。それだけじゃないでしょ？』

「、、、ほんと風磨やだ。」

『まあ、俺、仮にも3年付き合っていたからねぇ。』

「仮だなんて言わないで。」

『あ、ごめん。』

やっぱり元カレだから、私のことはわかるみたい。
うーん。今日に限っては嫌だったな。

『じゃなくて、話逸らしたでしょ。で？何を悩んでるの？お嬢さんは。』

「、、、。好きになってはいけない人を好きになったらどうする？」

『おー。そっち系か。それと俺たちを避けること関係あんの？』

「風磨と樹はすぐそういうことを気づきそうだから。」

『要は誰にも知られたくなかったのね。』

私が無言で頷くと、その頭をポンポンと撫でてくれる。

『この世に好きになってはいけない人って家族のいる人くらいじゃないの？え？不倫になるってこと？』

「まさか。」

『じゃあ、俺の答えは一つだね。そんなの気にすんな。だけど、Aには無理だよねー。』

「よくお分かりで。」

風磨は長年私と深い距離にいたからよく分かってる。

『誰とかは聞かないけどさ、自分大事にしてもいいんだよ？』

「そうかぁ、、、。ありがとう。」

『なんか参考になる答えを出せた気しないんだけど。』

「ううん。そんなことないよ。」

『とにかくさ、また話はいつでも聞いてやる。』

「ありがとう。」

『だから、俺や樹のことを避けるのだけはやめて。』

「うん、ごめんね。」

手をひらひらとさせて部屋に戻っていく彼に、
昔の記憶が重なった。

きっとあの時、そのまま付き合っていたら、
こんな風に悩むことはなかったんだろうな。

それだけの愛情はもらっていたから。

ピロン。

静かな部屋にLINEの通知が聞こえる。

私はその文を読んで思わず微笑んだ。
彼の優しさに日々癒されてる。

私は笑みを浮かべながら、返信した。