Snow Manにはお嬢がいる IV《紅一点》 (ページ4)

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深澤 side

お嬢は歌舞伎をやり切ったあと無理をしすぎたことで体調不良、という説明の上でお休みをしていたことにして、7月頭からの活動や、Jrの番組も乗り切った。
そして、復活した今はまさに【逆転ラバーズ】のプロモーション期間中。発売日も近い。
テレビ番組にバックで出ることも多いから、歌舞伎が終わってもこのメンツと顔を合わせることが多い。つまり、大千秋楽の木嶌統括(アイツ)の発言を聞いていてその後の惨劇も噂程度ではあるが知っている奴らしかいない。そしてその真ん中にはもちろん全てを知って対処した滝沢くんもいる。

佐久間
「お嬢？顔怖いよ？」

『いきたくない、、、』

宮舘
「お嬢なんも悪いことしてないでしょ」

『ご挨拶できてないままだし』

阿部
「尚更行かなきゃね」

午前中に別仕事をしていたお嬢と合流して雑誌の撮影をしたあと、全員でテレビ局に移動している最中。
送迎車の中で人一倍小さくなって小難しい顔をしているお嬢は合わせる顔がないとしょげているが残念ながらこれは仕事だ。今日1日、みんなと顔を合わせることが気がかりでずっとテンションの低いお嬢を見ていた。悩んでいるのだろうと容易に分かった。それもまあ俺たちからすれば杞憂なんだけどね。
俺たちからしたら、あのメンツがめちゃくちゃ心配そうにソワソワしてるから元気になった顔見せてやらないとな、って思いが強い。お嬢のことが心配だったのは俺らだけじゃないんだから。
そろそろ関係各所にお嬢が復帰した姿を見せないと俺らが死ぬ。通知と着信音に殺されるんだよ、まじで。

俺たちバックにつくJrに用意される楽屋はだいたい大部屋だからお嬢に逃げ場はない。
いつもより3割増しくらいで足が重くなかなか進まないお嬢を佐久間が引っ張りながら連れていく。まだ随分と早い時間だというのに、大部屋の楽屋をあけるといつものメンツが全員いた。

『え』

佐久間
「お疲れ様でーす」

「「「お疲れ様でーす」」」

さすがに勢揃いをしているとは思っていなかったらしいお嬢の顔が固まった。おもしろ。
ドン、バン、と元気よく扉を開けた佐久間に引きずられるようにズイズイと中に入っていく。

「あ、降夢」
「降夢くんだ」
「Aくん！」
「降夢くーーーーん」
「よかったあ、、、」

ホッとしたように名前を呼んでくれる仲間が、戻ってきてくれてよかったと思う仲間が、お待ちにはこれだけいるんだぞ。

『みなさん、すみませんでした』

深々と下げた頭。その謝罪には色んな意味が込められてる。

「体調どう？無理しすぎんなよ？」
「ちゃんと食べてくださいね」

あくまでも体調不良だった体。
俺たちは空気の読めるJrだから。