王子様なんて (ページ3)

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민우ごめん今日もバイト入った。一緒に帰れない。

バイトが忙しいのか、
ここ数日会えていなかった彼からそんな連絡をもらった。

今日は一緒に帰る約束をしていた日だが、
まあいいや、1人を楽しもう。
そう思い、買い物に出かけた。

欲しかった本を手に入れて、帰ったらすぐ読もう、なんて思いながら歩く帰り道。

いつもは通らないが、早く家に帰って本を読みたいがため、車通りの少ない路地から近道をすることに。

路地に入ると数メートル先に腕を組みながら歩く、男女の影。
暗くてよく見えないが、とても仲の良さそうなのが伝わってくる。

〈ﾌﾌ、Aはいいの？？〉

ふいに女性の方から発された、自分の名前。
思わず、目を凝らすとその女性の隣には、見たことのあるシルエット。

〈あいつさ、つまんないんだよ。俺はもうユアがいればそれでいい。〉

男の方が言い終えたところで、2人の影が重なり、静かな路上にﾘｯﾌﾟ音が響く。

＿＿＿＿＿＿＿ああ、そうか。
最近会えなかったのはこういうことか。
なんで今日に限ってこの道を通ることにしたのか。

仲良く歩いていく2人をぼんやり眺めながら、動こうにも動けない情けない自分に、涙が流れているのを隠すかのように笑った。