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阿「佐久間はもちろん、俺とか康二もみんなよりひと足先にAちゃんと仲良くなっちゃったから、友達のことを"何か問題起こすかも…"って目で見れないじゃん?」
阿部ちゃんの向かいに座るさっくんがうんうんって頷いた。
佐「疑いたくないっていうか…佐久間的にはAちゃんの人柄信頼しきっちゃってるからさー今更疑えってほうがむずいんだよね〜」
岩「目黒は康二に懐いてるから、康二が心許してる人は敵じゃないって認識だし、翔太も知り合いなんだよね?」
「そうです。友達の上司で」
岩「だから殆どがAさんと距離を縮めてる中で、舘さんはAさんに対して慎重になってると思うし…
ラウールも前の一件の当事者だから、すぐには受け入れられないかもしれない。」
「それは重々承知してます。
受け入れて貰えなくても当然だなって思ってるぐらいですし…」
ただラウールくんが過ごしづらいのは事実で、それが申し訳ない。でも、じゃあここ以外に住むアテがあるの?って聞かれたら、答えはノーだし…
そんな私の心を読んだのかひかるさんが口を開いた。
岩「ラウールにはふっかが居るから大丈夫だよ」
「え?」
岩「ふっかは自分が反対すればラウールが気兼ねなく相談できるって思ってる
Aさんがどんな人か探ってはいるだろうけど、本当に嫌ならもっと声上げてるはず」
阿「この子はダメってすぐ言うよね」
どうやらフッカさんの勘はよく当たるらしい。
今のところ、彼の第一審査はすり抜けたってことなのかな?
岩「嫌われ役を買って出るような奴なの
悪い奴では無いからあんま敬遠しないでやって?」
フッカさんの話をするひかるさんは今までで一番優しい表情をしていて、大切に想っていることがひしひしと伝わってきた。
奥さんについて話してるみたい。
佐「ま!Aちゃんも含めてあの家にやな奴なんて1人も居ないんだからさ、きっとなるようになるよ」
私の頭にポンとさっくんの手が乗った。
佐「大丈夫大丈夫!」
「…うん」
さっくんの「大丈夫」は魔法の言葉。
「ありがとう」
中途半端に申し訳ないって思ってたって、出て行く覚悟も無いんだから。
疎まれに行くくらいの気持ちでいよう。
…昔っから、どうも人に好かれようとしてしまう。
全人類に好かれる人なんて居るはずないって分かってるのに、誰からも嫌われないようにって顔色を伺ってしまうのはもう癖みたいなものだ。
愛せないし、愛されないのに。
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作者名:あむ | 作成日時:2024年4月5日 23時