8月、思い出と課題テスト ページ7
暑さが更に強くなった8月。
自室で、わたしは夏休みの出来事を思い出していた。
「……楽しかったな」
思わず、小さく零す。
楽しかったのはわたしだけだったかもしれないけど。だって魔物を狩りに行くヘッケンローゼ先生にただついて行くだけだったから。
魔獣を狩る最中のヘッケンローゼ先生は淡々と作業をしているかのように表情は無かった。でも、なんとなく魔物を狩るのを楽しんでいそうだな、と思う。
だって学園内で会った時みたいな冷ややかな雰囲気は薄かったし、表情も心なしか険しく無かった。仮面のおかげで口元くらいしか見えなかったけどね。
ヘッケンローゼ先生は色々な魔物をほとんど1人で倒していた。時折「手伝ってくれませんか」と言われて手伝うことはあったけど、簡単なものばかりだった。
おとりとか罠を張るとか、魔物を薬で弱めるとかそんな感じのお手伝い。
きっと、危険度3のゴーレムを魔法のゴリ押しで倒せる彼には1人でも狩れる対象ばかりだった。わたしがついてきていたから、ついでで手伝わせただけなんだよね。そう思うと、少し申し訳なくなってきた。
「……それと、」
言いかけてはっと口を押さえた。いや、これは邪念だ。
魔物を狩りに行くため、本当に色々な場所に行ったのだ。山とか森の中とか……海とか。
それで、見てしまったのだ。彼の身体を。
「(……めっちゃ綺麗だった)」
思い出し、赤面してしまう。
予想通りに彼は肌を露出しない水着だったのだが、邪魔にならないためかそれなりにぴったりした水着だったから。とにかく、凄く綺麗な筋肉配列をしていた。
着痩せするタイプなんだなぁーとか現実逃避をしながら作業をしました。
だって学園内での彼の格好、割と細身に見えるんだよ。細身の神経質そうな人に。
ちなみにわたしはセパレートタイプの飾り気のない水着だったけど。魔物を狩りに行った訳で、遊びに行った訳でないからね。
学園のプール授業、教員の参加がなくて良かったよ、ホント。
×
そして夏休み明けには夏休み課題テストがある。
夏休み中に勉強をサボっていなかったか確認をするためのテストだ。主な内容は夏休み課題の範囲で収まっているので、課題をしっかりしていれば焦ることはない。そのはず。
テストの内容は中間試験の時みたいに穴埋めと少しの記述問題、語句を選ぶやつなどを組み合わせてテスト問題を作った。
一度作ってしまえばあとは応用を効かせるだけだから、テスト作りって意外と楽だなと思った。
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作者名:鬼灯 | 作成日時:2024年4月10日 14時